2012年5月15日火曜日

サーキット走行中のトラブルと危険回避


サーキット走行中のトラブルと危険回避

サーキット走行中のトラブルと危険回避
 

サーキットや競技で走行する前には 万全と思っても思わぬ状態になることもある。 安全のために 危険回避(リカバリー)の方法は知っておくべきです。

(コース走行中に急に走行状態が変化したときに危険回避をする方法)
水、オイル、燃料、タイヤ、走行状態 で通常の運転とは異なる状態(異常)が生じたときの対処を記載しています。   

車の用語説明はいろいろなところで紹介されていますが、その現象になった時に、ドライバーは「即座にどう対応したら良いのか」は書かれていないものが多く 、書籍やWEB上でも具体的な資料はほとんどありませんでしたので過去の経験を元にここに書いておきます。 
サーキットなどでスポーツ走行するための 事故防止に役立てば幸いです。 
サーキット走行や競技走行をしない 一般の方も読んで覚えておくといざというときに役に立つかも知れません。 
間違いがありましたらトップページからメールデコードでご指摘ください。修正します。
 
・フェード  (ブレーキが制動時に発生する高熱によりブレーキパッド表面または全体に変化が起きてローター面との間で樹脂が滑ったり、炭化物などがつきほとんど利かなくなる現象) 
発生すると止まれない危険性がある 
長い下り坂でブレーキの頻度が多いと発生する場合があるのは フェード と ベーパーロック。
乗っている車の状態によって どちらとも言えない。 主に パッドが低温タイプだとフェードが起こり ブレーキオイルが吸 湿していると ベー パーロックが起こる。 パッドが低温タイプのまま高温になりブレーキオイルも吸湿していると両方同時に起こることもある。
ブレーキパッドを高温タイプに変更をしたらブレーキフルードもDOT数を上げ交換頻度を上げるべきです。
何かをチューニングすれば純正よりはメンテナンス周期もランニングコストも増えるものです。
命に関わるものですので走行条件に合わせた適切な部品選定、オイル選定が必要です。


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走行中に発生するとだんだんに利かなくなる。 1回でも利かないと思ったら安全のためにスローダウンしてピットインすること。
走行時の対処の方法はそのまま踏んでも悪化するのみ  多少でも利かせるには冷やすしかない。   緊急時は踏力を強くすること。しかし踏むと温度が上がるのであくまでも緊急時とする。 
パッド自体が炭化してしまうと全く利かない場合もある。一般のサーキットでは適正温度はおよそ判るので経験のある方やショップなどに相談し、あらかじめ適正な温度範囲のパッドを選んで装着しておくことは安全のために重要。
冷ますにはブレーキを弱くする かけないように工夫する(エンジンブレーキ(直進時 コーナリング時)サイドブレーキ(直進時のみ))  
 防止方法は サーキットの温度上昇に合わせて装着するパッドの適正温度 が高いものを使う。 低温が苦手なものもあるので注意する。
経験者が使っているものと同じ種類のパッドを選ぶと安心。
(特に雪国や寒冷地の場合は低温も注意 純正はその点はオールマイテイです)
ブレーキ裏面は純正の金属プレートまたはプレート無しでパッドを適正なものに変更するのが基本。
バックプレートに金属以外の材質を使うとか断熱材を塗ってベーパーロックを防ぐ場合もあるがパッドの放熱が悪くなりフェードを起こす場    合もあるので注意が必要 競技用で使う場合は温度計測確認をしてから。 良いパッド先にありき なので順番は間違えないようにする。
フェードを防ぐ基本は、ローターやキャリパーを冷やす工夫をする。ブレーキダクト、ベンチレーテッドデイスク、スリット付きデイスクも有効
ブレーキダクトは 一般車では泥や水 雪を集めてしまうことになるのでほどほどにする。 スポーツカーが純正で使うような構造が参考になる

・ベーパーロック (ブレーキのオイル内に気体の泡が発生してしまう現象) 
発生すると止まれない危険性がある
泡が大きいと気体は圧縮されるため気体の厚み分ストロークは無駄になりペダルが奥に入る。熱により発生した泡の圧力が異常に上がりペダルストロークが変化  する場合もある。一度発生してしまうと走行中に泡が無くなることは無い(自己治癒はしない)ので 緊急事態として感じ取り、1つ1つの泡を大きさを細かくして可能な限り油圧のストロークを戻す工夫をすることを考える。
コースが直線の部分でペダルが戻るまで強いポンピングブレーキを何度も繰り返しでタッチが有る部分まで踏み込み泡を小さくすること
で空気の泡が圧縮される分のストロークを減らす工夫をする。
発生したらその周回で必ず安全のためにスローダウンしてピットインする。
防止方法は ブレーキオイル クラッチオイルの DOT指定を上げる DOT3=>DOT4  DOT4=>DOT5(注:DOT5は吸湿しやすいので注意     する) また オイル交換を怠ると吸湿してしまいベーパーロックが発生する。  
対応はサーキットのピットでオイルを足しながらエアー抜き操作をするしかない。   
エアー抜きが自己責任でできない場合は、慣れている方に依頼する。その場合も確認は多くの目が良いし覚えるためにもやり方を見ていることは重要。 不安なら依頼のままで行く。 相手がプロではない場合は依頼をしても依頼者の自己責任なので注意する。
これも不安なら必ずサーキットに居るプロに依頼すること。


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・ブレーキオイル内(クラッチオイル内)エアー噛み
(オイル交換やエアー抜きの際のミスでエアーを噛んでいるもの。 
ベーパーロックでも発生するがオイルや吸湿が原因で高温になって沸騰し発生するものでは無いものとして分類した。)
発生すると止まれない危険性がある
オイルの配管にエアーが入ってしまうとブレーキバランスが崩れる場合もある。 
対応はサーキットのピットでオイルを足しながらエアー抜き操作をするしかない。 
走行中にエアーが膨張してさらにフカフカになってしまった場合は 冷やすことと ベーパーロック同様の対応方法を試すしかない。 
エアー抜きは良く観察して正確に。 簡単なようで難しい、命に関わるものだけに、不安ならプロに任せること 。(自己責任とは自分で不安なら任せてでも完璧にする(自分、他人に関係なく迷惑をかけないこと。原理や部品を知らないと完璧かどうかわからないこともある)ということをお忘れ無く) 
発生したらその周回で必ず安全のためにスローダウンしてピットインする。
走行が終わり一旦ブレーキオイルが冷えて、帰るときに発生してしまう場合もある。そのようなときはその時点でエアー抜きを行う。
エアー抜きが自己責任でできないなら、無理せず近くの整備工場、デイーラー、カーショップに依頼する。

・パーコレーション  (燃料の沸騰など沸騰してしまうまたは沸騰に近くなってしまうこと)
発生するとエンジンがストールする 条件によってはエンジン破損の原因になる危険性がある 。走行中の焼き付きはロックすると危険
焼き付く前にクラッチを切り直線で安全に減速をする
沸騰により泡が発生してキャブの場合はフロート油面が変化したり、燃料の供給が不安定になったり止まってしまう。
燃料噴射の場合は 余分に圧力をかけて送り、燃圧レギュレータ、パルセーションダンパをでインマニ圧で働かせ、燃圧を自動調整するなど        して余剰分はタンクにリターンさせているので温度上昇を避けられるためパーコレーションは発生しにくい。 
競技車などで発生する場合には、沸騰しない構造にする、遮熱する、ポンプ容量を上げリターン量を増やすなどで熱移動すれば改善される。
パーコレーションはキャブ車では多かったが 燃料圧の高いインジェクション車では構造上、燃料配管に熱が加わるなどの問題がなければ発生しにくい。  その結果起こる現象はエンジンストール。
キャブなどでは燃料配管に空気が入ってしまうと抜けない場合があるのでその場合にはフロート下部からエアー抜きが必要な場合もある。
インマニとEXマニが離れているものは熱量的に高くならないため発生しにくい。
競技車などで純正と大きくかけはなれた構造の場合にはパーコレーションの発生がないように構造を注意する。


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・キャビテーション  (液体の攪拌などにより空気が混じり泡が生じること)
発生すると液体しか圧縮できないポンプは液体を送れなくなる場合が出る 沸騰して空気が入り込むと 温度が上がりやく 
冷却システム全体の冷却不足になりエンジンがオーバーヒートする危険性がある。  走行中の焼き付きはロックすると危険
焼き付く前にクラッチを切り直線で安全に減速をする 
パワステポンプ ウオーターポンプなど 液体は圧縮できるが気体は圧縮できないポンプにとっては致命的な圧力ロスになる。
防止方法は 液体に消泡剤を含むものを使うか発生してしまう泡を抜くようにサブタンクを付けるなどの構造にすると改善できる。

・ハイドロプレーニング現象  (タイヤが 路面に水が多い場合に水を排水しきれず水の膜にタイヤが乗ってしまう現象)
発生するとコントロール不能になる危険性がある。 通常フロントの接地感が薄れる。 
ステアの抵抗感が極端に軽くなり氷の上を滑るような感覚になる。 予兆は全く無い場合があるので怖い。
雨を考えていないタイヤでは80km/h程度で発生する場合もあり、雨の排水が良いタイヤでは160km/hでも発生しない。 
溝が減るとどのタイヤでも発生するようになってしまう。 
防止方法は 減っていないタイヤを使うこと。 (法定では1.6mm以上溝があることとなっている)
発生してしまって危険回避をする場合は 直線(ステアまっすぐ)でエンジンブレーキやロックさせないブレーキ操作� �どで何とか減速して
接地感がある速度まで減速をする。 必要に応じてポンピングブレーキ操作をすると減速が速い場合もある。
コーナーで発生してしまった場合にはスピンしたほうが良い場合もある。 サーキットでは状況判断が必要。 
発生させない為には タイヤの縦溝を深くする 雨に強いタイヤを使う   競技用の場合、雨のときはレインタイヤを使う。 
公道であればまず減速が基本。 スピンで回避して失敗した場合、危険運転と取られる可能性もある。 

・スタンデインウウェーブ現象 
(タイヤの空気圧不足のためタイヤが円形に回らず波打って回ること 、波は定在波(スタンデイングウェーブ)、波の振幅が増えるとバーストのおそれがある )
高速だったり、定在波の振幅が大きくなると、急激にタイヤがバーストして破裂し大変危険な状態になる。
防止方法はピットでタイヤの空気圧を必ず全輪チェックしてから出走する。 
異音などのバーストの予兆など、タイヤの異常を感じたらその周回でピットに戻って確認する。
タイヤのサイドを縁石などに当ててしまい傷を付けたり、急激なブレーキなどでスポット摩耗をさせるとバーストする不具合が発生する場合もあるのでそのタイヤは使わないようにする。
発生してしまったら直線で減速してスロー走行しピットインする。走行不能の場合は安全な場所で停止して手をあげる。


・スピン (コーナーへの進入速度オーバー または 操作ミス(急ハンドル 遠心力や駆動力を無視した操作)で リアタイヤが滑り、内輪差が  無くなり リアが外を回ったとき 以降のコントロールが出来ない状態になると一気に回ってしまうこと。
(スライドしてもコントロール出来ている場合はドリフト走行))
発生するとコースによっては重大な事故になる。後続車との接触も避けられない場合もあるのでスピン回数が多い方は スピンの原因は自分なのかマシンなのかを要チェック。
スピン回避するには、速度を下げる(ドライバーはタイヤや足回りの限界など車に合わせた速度コントロールをする)か、急すぎる操作を適正 にする。速すぎる操作を遅くする。 
遅すぎる操作を速くするなど シチュエーションに有った操作をする。  
車が良くない場合は タイヤの銘柄 空気圧 前後の車高バランス ショックの減衰力 などのセッテイングを弱アンダーになるように見直す� �
通常走行では車両の走行特性は弱アンダーにするのがセッテイングセオリー。競技車ではあえて強めのアンダー設定にする場合もある。
マシンが良い場合にはスピンも、曲げにくいのもドライバーの技量次第。 
コーナリング中に急激に回りはじめてしまいスピン回避できそうになければ無駄な操作をせずにステアリングをしっかり握り車に任せブレーキを踏む。
慣性や遠心力が大きい場合には車体はすぐに止まらずその力の合成ベクトルの方向に滑ってゆくが、その方向がその状況で最も安全な方  向に向くようにブレーキを調整する。 慣れると体が勝手に操作するようになる場合もある。
最後までちゃんと全てを目で見て絶対に放棄しないこと。 きちんと現在の状態を見ること。

・オーバーヒート (エンジンの温度が異常に上がってしまうこと一般には水温異常のオーバーヒートを指す)
冷却不足(エンジンに対して冷却が足りない ラジエータサイズ オイルクーラーの有無など) 
冷却系トラブル(水が回らない オイルが回らない ポンプが働かない サーモが開かない 配管が詰まっている など)
エンジンの温度が上がる順序は 油温計が上がりすぎる、水温計が振り切った、ボンネットから湯気が出る、油圧低下、エンジンが焼き付く 
計器でわかるので計器の状態を見逃さないこと。 
油温計が上 がりすぎる、水温計が振り切った、ボンネットから湯気が出る くらいまでが 発生してしまったら とにかくエンジンを止めずに 
徐々に冷やすことを考える。
油圧低下以上のはエンジンを停止して急激に冷やしてしまったほうがエンジンが助かる場合もある。 焼き付く前にクラッチを切り直線で安全に減速をしてピットに戻る。 焼けすぎたエンジンは性能は劣化するのでそうならないようにメンテナンスや改良を行う。 

・エンジンブロー (エンジンの内部の部品が破損してしまうこと)
エンジンが異音を出すが回転している場合はスローダウンしてピットに戻る。
エンジンロックしてしまったらクラッチを切り直線で安全に減速を してピットに戻る。戻れない場合はできるだけ安全な位置で停止して手をあげてオフィシャルを呼んで移動してもらう。


・車両火災 何らかの原因で発火してしまうこと 燃料系統だと危険 
火や煙が出たら エンジンんキーを必ず切って すみやかに車から離れること。(危険なので必ず キーOFFで離れ オフィシャルを呼ぶ)
キーを切れば 燃料の供給は止まる、残圧があるので場所によっては爆発の危険もある。
サーキットに備え付けの消火器を借りて消火する。 消化器が遠い場合には大声を出して近くの方に運んでもらうこと。
水はオイルや燃料が漏れていると火が広がるので厳禁。
競技車は必ず規定の消化器を常備で積んでおくこと。 固定方法も規定に従うこと。 
消化器を使ったらかならず同様のものを返却すること。 お礼も忘れずに。

サーキット走行は誓約書の通り ドライバーが責任を持って走行するものです。 
ここに書いた 一部は誓約書や参加の説明文に書いてある場合もあります。 
誓約書や説明文は必ず全文読んで自分で理解、納得してからエントリーしましょう。 モータースポーツへの参加は 自己責任です。

AE−MY GARAGE   2007−5

 



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